lightfields8

こころとからだの自然を呼び覚ます

野村浩平

週刊誌専属記者、フリーライターを経て、2015年より絵と言葉での創作活動に軸足を移す。創作は、自身のセクシュアリティをきっかけとした長き年月の自己否定の蓄積を溶かすべく、自己治癒としてがその原点。絵や言葉のほか、西洋占星術に基づく「星読みセッション」も行う。自分を媒介として生まれる何かが、誰かのどこかを回復させる一助となったらと願っている。
instagram : @nomurakouheino

©️ Kotori Kawashima

アマミヤアンナ

編集者、呼吸法指導者、NARD JAPAN認定アロマ・アドバイザー。lightfields8、呼吸ラボラトリーを営む。いくつかの出版社を経て2015年からフリーランスになる。編集業と並行して、2014年夏から呼吸法の指導もはじめる。2025年夏、lightfields8より『時空を変えるタロット』(ケルマデック著)を出版。各地で、あるいはオンラインで、出版物や呼吸法にまつわるイベントを開催している。また、イラストレーターで画家の武藤文昭のマネジメントも行う。

column

「交換日記がしたい!」とlightfields8主宰のアマミヤアンナが、絵や言葉で表現をする野村浩平さんをお誘いしました。何気ない日常から思いや気づきを持ち寄って、交換して、交感して、循環させて。対話のようなひとりごとのような、実験的「交感日記」のはじま
りです。

2026/9/2

交感日記  野村さんへ

2026/9/2

交感日記  野村さんへ

タイトル

たとえば、同じような長寿アニメである『名探偵コナン』において「コナンは何者でどんな目的があるのか」という質問をされたら、ほぼ全員が正しく答えられると思う。この違いはなんなのだろうか。

『名探偵コナン』のアニメでは、冒頭で必ずコナンが小学生の身体になってしまった経緯が語られている。つまり視聴者はコナンが最終的になにを成し遂げたいのかを知った上でアニメを観ることになる。『おじゃる丸』にはそういった演出はない。『おじゃる丸』の初回放送からは27年以上が経っていて、第1話を観た人やその内容を覚えている人がほとんどいないので、(僕や僕の子どもを含め)おじゃる丸が何者かわからない状態で視聴せざるを得ないのだ。

『それいけ!アンパンマン』は、『おじゃる丸』と『名探偵コナン』のちょうど中間だと思う。アンパンマンが何者かは本編でいちいち語られないが、YouTubeを観てみるとアンパンマン誕生の経緯を描いたアニメがアップされている。

何百回、何千回と放送が繰り返されていく中で、起源そのものが忘れ去られていく構図は、実はキリスト教の聖書なんかと似ているのかもしれない。長い間愛されている作品を『おじゃる丸』型と『名探偵コナン』型に分けてみるのも面白い。たとえば、『サザエさん』はどうだろう。サザエさんはマスオさんとどのようにして出会い、結婚することになったのか。そもそもその経緯が描かれているのだろうか。

2026/9/2

交感日記  アンナさんへ

2026/9/2

交感日記  アンナさんへ

子どもが生まれてから、毎朝一緒にNHKのEテレを観ている。およそ30年ぶりだ。

保育園へ子どもを連れていく直前、8時25分から流れているのが『おじゃる丸』だ。おじゃる丸は(おそらく)平安貴族の子どもで、電ボという(おそらく)ホタルを連れ歩いている。このおじゃる丸が月光町という現代日本の街の住人たちといろんなことをするアニメだ——と書いても、『おじゃる丸』を観たことがない人からすればよくわからないだろう。しかし安心してほしい。数カ月、毎日のように観ている僕も、『おじゃる丸』がなんなのかよくわからないのだ。

設定の説明に「(おそらく)」という言葉を連続して使ったことからもわかる通り、まず僕はおじゃる丸が何者なのかわかっていない。電ボにいたっては、どれほどの知的能力があるのか(そもそも虫なのか)もわかっていない。『おじゃる丸』を解釈する上でさらにややこしいのは、月光町ではなんの断りもなく鬼の3人組が登場したりもする。電ボが普通に飛んでいることが許されているのは百歩譲っても、人外であるはずの鬼がどこから来たのか、どういう理屈で街に溶け込んでいるのかもわからない。もっとややこしい話をすると、唐突に昔話やSFが始まったり、異空間を舞台にした話が始まったり、平安時代が舞台になったり、平安時代を舞台にした『おじゃる源氏』という源氏物語のパロディ作品が放送されたり、作中に郷ひろみが出てきたり、とにかくどういう設定のどういうリアリティなのかがわからない。オープニング曲には、おじゃる丸の両親やおじゃる丸が居候している家の子どもが出てくるのだが、本編に登場しているのを観たことがないので、彼らが何者なのかは未だにわかっていない。

というように、『おじゃる丸』は非常に難解なアニメなのだ。最近会った人にはこういった疑問(そもそもおじゃる丸は何者でどんな目的があるのか。平安貴族がなぜ現代にいるのか。電ボや鬼は何者なのか)をぶつけている。しかし不思議なことに、『おじゃる丸』を観ていた人は多いのだが、僕の質問に答えられた人はひとりもいない。

野村浩平

週刊誌専属記者、フリーライターを経て、2015年より絵と言葉での創作活動に軸足を移す。創作は、自身のセクシュアリティをきっかけとした長き年月の自己否定の蓄積を溶かすべく、自己治癒としてがその原点。絵や言葉のほか、西洋占星術に基づく「星読みセッション」も行う。自分を媒介として生まれる何かが、誰かのどこかを回復させる一助となったらと願っている。
instagram : @nomurakouheino

アマミヤアンナ

©️ Kotori Kawashima

編集者、呼吸法指導者、NARD JAPAN認定アロマ・アドバイザー。lightfields8、呼吸ラボラトリーを営む。いくつかの出版社を経て2015年からフリーランスになる。編集業と並行して、2014年夏から呼吸法の指導もはじめる。2025年夏、lightfields8より『時空を変えるタロット』(ケルマデック著)を出版。各地で、あるいはオンラインで、出版物や呼吸法にまつわるイベントを開催している。また、イラストレーターで画家の武藤文昭のマネジメントも行う。